令和5年9月26日(火)1階広場で、「鬼平犯科帳 穴」上映会を開催しました。
平成10年4月29日放送で、中村吉右衛門、坂上二郎、木本元、多岐川裕美他出演です。
芝、西の久保の壷屋は、紙油、京白粉の評判もいいが、桜紅と名付けた口紅が女たちの人気を集めていた。
その壷屋に奇妙なことが起こった。
金蔵から三百二十両が盗まれたのだ。
合鍵を使ったものと思われたが、金蔵の戸口に近づくには、一度店の中に入るしかなかった。
だが、その形跡もなく、鍵を収める手文庫も錠がおりたまま。
奉公人も誰ひとりとして欠けていなかった。
話を聞いた平蔵は、その鮮やかな手口に、この盗っ人をどうやっても捕えてみたいと思うのだった。
ところが、ほどなく金は元通りの場所に返ってきた。
これは、壷屋の隣で扇子を売っている、平野屋の主人源助と番頭茂兵衛の仕業だった。
平野屋は、帯川の源助という元盗賊で十年前に足を洗っていたが、つい昔の血が騒いだのだ。
平蔵は、壷屋の見取図から、金蔵にいたずらを仕掛けるなら、平野屋からしかないと見抜いていた。